カジノ法案(IR推進法)の成立により、いよいよ日本国内で数年以内にカジノが誕生する可能性が高まりました。
外国人観光客だけではなく、日本人も入場料を支払えばカジノを利用できるとあって、開業を心待ちにしている人も多いのではないでしょうか。
カジノ法案成立によるメリットは、単純に我々がカジノを楽しめるようになるというだけではありません。
ギャンブル依存症などのデメリットを指摘する声もありますが、それに負けないメリットとは何なのでしょうか。
今回は、カジノがもたらすさまざまな効果や可能性をご紹介します。
目次
カジノ法案成立のメリット①自治体の収入が大幅に上がる

カジノ法案成立により、日本人が得られるメリットとしてとくに大きいのが、自治体の収入が大幅に上がるという点です。
カジノの誕生により、入場料収入や納付金、法人税、固定資産税・都市計画税などの収入が上がり、地域の財政状況を改善させることができます。
有力な候補地のひとつである神奈川県横浜市では、ギャンブル依存症患者の増加や治安悪化を危惧して、反対する住民が目立ちます。
林文子市長が誘致開始を正式に表明した際は一部で批判が起こりましたが、反対派への説明を意識した記者会見で、真っ先に語った誘致の理由も「収入増」でした。
この会見によると、横浜市がカジノを含む統合型リゾートをもつことによって得られる収入は、年間820億円から1,200億円。
これは、横浜市の法人税収入のおよそ2倍という金額であり、市政運営を行う側にとって魅力的な数字であることは間違いありません。
カジノ税の新設によって国の財政も潤う
日本政府はカジノ運営による利益のうち、30%~50%を「カジノ税」として徴収する方針を固めています。
仮に国内で営業するカジノが、合計で年間5,000億円の利益を得たとしましょう。
その場合は税率が30%だとしても、年間1,500億円を税収として見込むことができます。
税収が上がれば、消費税をはじめとする国民の税負担が減少する可能性も十分に考えられます。
この後詳しくご紹介しますが、国や自治体が得られる収入は、直接的な税収だけではありません。
観光客の増加による影響も受けて、財政状況を一気に改善できる可能性を秘めています。
このカジノ税による税収は、国と自治体で折半する予定になっています。
自治体が税収をどのように活用するかは未知数ですが、住民に向けた自治体サービスという形で還元されることや、福祉に活用されることも考えられ、地域レベルが一段と向上することになるはずです。
カジノ法案成立のメリット②外国人観光客の増加による経済効果

シンガポールやマカオなど近隣のアジア諸国には、すでにカジノ文化が根付いており、カジノを目的のひとつとして旅行する外国人も少なくありません。
その点、まだカジノ開業を果たすことができていない日本にはハンディキャップがあり、貴重な収入源であるインバウンドを取り逃している可能性があります。
外国人観光客の数は年々増加し、現在は年間約2,000万人という数字を維持できるようになりました。
順調な伸び率を見せていますが、カジノ誕生を契機に日本政府が目指す外国人観光客数は、年間4,000万人。
現在の2倍も外国人観光客を増やそうという計画のもと、カジノ法案は作られました。
仮にこの数字を実現できれば、インバウンドによる収入も、単純計算で2倍にまで伸ばすことができます。
カジノ関連施設だけではなく、地域全体への経済効果にも強い影響を期待できるようになり、国内の景気はよくなるものと考えられます。
カジノ法案成立のメリット③より魅力的な都市づくり・街づくりが可能になる
カジノ法案という言葉から誤解されがちですが、IR整備法は、あくまでも「カジノを含む統合型リゾート」を導入するための法律です。
街中に、ポツンとカジノ施設が誕生するというだけではありません。
それに付随したホテルやレストラン、劇場などのリゾートがセットになって、候補地で開発されていきます。
たとえばアメリカのラスベガスでは、カジノをしない人でも楽しんで利用できるような魅力的な街づくりが行われています。
日本でラスベガスほどの規模の街づくりを行うことは困難ですが、これまでになかった魅力的なリゾート施設が誕生することは確実です。
とくにシンガポールの「マリーナ・ベイ・サンズ」は、IRにおける象徴的な存在です。
カジノを楽しむこともできる施設ですが、セレブ御用達のラグジュアリーホテルでもあり、屋上のプールはSNS映えしやすく、若い女性からも大人気。
映画などで登場することも多く、シンガポール観光の定番スポットになっています。
同様の現象が日本でも起こることは、ほぼ間違いないのではないでしょうか。
日本の観光産業は、東京や大阪、京都など一部の都市に依存しており、地方都市では伸び悩みが否めません。
カジノの誕生は大きな起爆剤でもあり、切り札でもあると考えられます。
インフラが整備される可能性も高くなる
外国人観光客が利用しやすい都市づくりを行う上では、電車やバスなどの交通インフラの整備は必須です。
すでに交通の利便性が高い候補地もありますが、そうではない地方都市にとって、カジノ開業により、都市部へのアクセスがよくなる可能性は非常に高いでしょう。
車での移動がしやすいように道路が拡張される可能性もありますし、空港やターミナル駅へと向かう電車やバスが新設されるかもしれません。
老朽化が進んだ施設や設備の改修・修繕工事が行われれば、バリアフリー化が進むことや、災害時の耐久性向上にも期待できます。
都市部にとっても、インフラ拡充のメリットは無視できません。
リゾート施設を利用する人が増えれば、その地域に向かう電車やバスが増便される可能性があり、混雑緩和につながります。
日頃の生活環境が向上することに期待して、カジノ推進派になる一般人も多いのです。
カジノ法案成立のメリット④新しい雇用の創出に期待できる
カジノを含む統合型リゾートが誕生すると、その地域の雇用は、爆発的に増えることが予想されます。
就職したくてもできない層や、定年を迎えた後に仕事で困っている層に向けた雇用の創出に期待できるほか、日本では新しい分野となる職業の開拓ができることも、カジノ法案成立によるメリットです。
カジノの内部だけを見ても、ディーラーやマネージャーといったスタッフが大量に必要になりますし、スロットなどのゲームをメンテナンスするスタッフも必要になります。
治安悪化もカジノ開業で懸念されるポイントのひとつですから、セキュリティスタッフの確保も、各IR事業者が推進していくことでしょう。
統合型リゾート全体を見れば、さらに雇用は増えていきます。
シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズで働くスタッフは総勢9,000人とされており、規模が大きければ、ひとつのホテルだけでも1万人規模の雇用創出が可能になるという好例になっているのです。
レストランができれば調理やホールスタッフの新規採用が増えますし、商業施設が完成すれば販売に携わる店舗スタッフも劇的に増加します。
100店舗が入居する商業施設が、1店舗につき平均10人のスタッフを採用すれば、それだけで1,000人分の雇用が生まれることになるのです。
間接効果を含む雇用創出効果は12万人以上との試算も
横浜市が試算したIR効果によると、間接効果を含んだ雇用創出効果は、カジノ運営時に年間77,000人~127,000人に達すると示されています。
地域の失業率が下がれば経済が潤い、むしろ治安は向上するのではないかという期待をもつこともできるでしょう。
雇用が生まれることにより世帯の収入が増加すれば、そのお金を使うことで、さらに地域の経済は活性化されるでしょう。
結果的に一人あたりの所得が増えれば、所得税や住民税が増加し、国や自治体に還元されます。
このような好循環も、カジノ法案がもたらすメリットと考えられます。
カジノを訪れた観光客は、その地域に興味をもち、ほかのエリアも同時に観光する確率が高くなることでしょう。
そうなれば、IRによって誕生するホテル以外の宿泊施設にも利用者が殺到する可能性がありますし、その周辺にある飲食店や小売店が賑わうことも予想できます。
カジノ法案成立のメリット⑤非合法ギャンブルを撲滅させられる可能性がある
現在、日本国内で行われているカジノに参加すると賭博罪にあたり、違法行為になります。
カジノが解禁されれば、認可された施設内で行うカジノゲームはすべて合法となるため、候補地の近くに住んでいる人やお金に余裕のある人は、非合法ギャンブルを行う必要性がそもそもなくなります。
日本全国の街中にはパチンコ店が溢れていますが、パチンコやパチスロは公営ギャンブルではありません。
特殊景品というシステムを使うことで合法的に換金することができていますが、ある意味ではグレーゾーンともいえる運営が行われており、不健全との声も根強い業界です。
そのほかにも、近年世間を騒がせた「賭けマージャン」問題などの非合法ギャンブルも、合法化されたカジノの誕生により、撲滅に追い込みやすい環境を整備できることもメリットです。
反社会勢力が暗躍する施設を解体することができれば、地域の治安がよくなることは間違いありません。
まとめ
カジノ法案成立によるメリットとしては、国や自治体の税収が大幅に増えることや、外国人観光客の増加に伴う経済効果などを挙げることができます。
地域の施設が拡充され、インフラ整備が進むことは、カジノに興味のない市民や国民にとってのメリットにもなることでしょう。
カジノ開業による雇用創出効果は、10万人以上に及ぶという試算結果もあります。
一人ひとりの収入が増えれば地域の税収はさらに上がり、経済が活性化されることにもなりますから、さまざまな場所に経済効果が波及する好循環が生まれることになるでしょう。
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